住宅コストの構成は、以下のように分類されます。
- A:イニシャルコスト
- 建設時の初期費用で、工事費・設計監理費・税金・諸経費
- B:ランニングコスト
- 建物を使用するためにかかる費用で、
- * 光熱費:電気・ガス・石油などの、エネルギーコスト
- * 修繕費:維持管理などの、メンテナンスコスト
- * 改修費:ライフスタイルの変化などに対応する、改修コスト
- C:解体・廃棄コスト
- 寿命の来た建物の、解体・廃棄のために必要な費用
以上のように、住宅が生まれ寿命がきて廃棄処分されるまでを、「建物の生涯」と定義し、その全期間に要する費用を「ライフサイクルコスト(LCC)」と呼びます。
地球温暖化への対策として、CO2削減を求める世界的な流れの中で、住宅をライフサイクルで考える場合、下記の2つの指標を考慮する必要が求められて来ています。
1:ライフサイクルコスト(LCC)で、企画・設計、建設、運用、解体処分までを、住宅の生涯と定義して、その「全期間に要する費用」。
2:ライフサイクルCO2(LCCO2)で、地球温暖化の影響となるCO2の発生量に対する評価で、資材の生産、建設、使用(生活)、解体、再生・処理までを、トータルに考え、これらに必要なエネルギーを、地球温暖化の影響を計るために、CO2排出量に換算し、製造~使用~廃棄までの「CO2の生涯排出量」 。

1:ライフサイクルコスト(LCC)
建築費は全コストの4分の1程度に過ぎず、残りの4分の3近くはランニングコストだとも言われています。
建設の初期投資を抑えただけでは、その後に発生する改修・維持・管理にかかるメンテナンス費用が逆に増えることもあり、ライフサイクルコストが逆に増加することにもなりかねません。
ライフサイクルコストの低減を図るには、企画・計画段階から、全費用をトータルに検討することが必要といわれています。
わが国の住宅の寿命は、平均寿命が30年程度と発表されています。
この平均寿命は、先進国の中で比較した場合、1/3程度の寿命しかないという
極めて短命です。
これは、35年の住宅ローンの返済が終わるのを待って、住宅を建て替えなければならないというサイクルです。
これでは、住宅が持続可能な社会を構成する要素と成る事は出来ません。
(平成8年国土交通省データ)
長寿命住宅を計画する場合、二世代~三世代にわたる、家族構成の変化、
生活スタイルの変化など、住む人のライフスタイルに合わせた平面計画が可能で、設備機器の進化などにも対応可能となる機能が求められます。
設計工房フレックスでは、住宅のライフサイクルを90年以上とするために、
以下の、SI住宅の考えを基にした、ご提案を行っています。
一般的にSI住宅とは、建物の構造体および設備共用部分と、建築内部の内装および設備部分に、機能を分けた建築方式です。
SI住宅のSIとは,(S)スケルトン:建物の構造体および設備共用部分、
(I)インフィル:建物内部の内装および設備部分、の略で(S)と(I)を分離して考える住宅の方式です。
一般に住宅では,躯体(S:スケルトン)が高耐久性であるのに対し,内装および設備(I:インフィル)は20~30年で陳腐化・老朽化してしまいます。
そこで、床を2重床として、水廻り(設備)の移動をできるようにしたり、排水立管など設備共用立管を住居外のユーテリィティスペースに通すなどの工夫を行い、将来の改修への対応が可能としています。
寿命30年の住宅を2000万円で新築した場合と、寿命90年の住宅を、2400万円で新築した場合の、90年間の試算例を、下記に紹介します。
寿命30年の住宅を2000万円で新築した場合
建設時 新築費:2000万円
15年後 修繕費:200万円
30年後 解体費:100万円 合計2300万円(90年では3回建て直しが必要)
(年間必要なライフサイクルコスト)=6900万円/90年=76.66万円/年間(LCC)
寿命90年の住宅を2400万円で新築した場合
建設時 新築費:2400万円
15年後 修繕費:200万円
30年後 修繕費:400万円
45年後 修繕費:600万円
60年後 修繕費:400万円
75年後 修繕費:400万円
90年後 解体費:100万円 合計4500万円
(年間必要なライフサイクルコスト)=4500万円/90年=50.0万円/年間
(LCC)
住宅の一生(ライフサイクル)での使用エネルギーは、
1:資材 資材の製造・調達時(4.0%)
2:建設 建設工事(2.0%)現場までの輸送、現場の重機など
3:使用 (住居)冷暖房、給湯、調理、照明、家電の利用(87%)
リフォームを行えば、新たな建材や撤去した建材の処分
4:解体 解体工事(2.0%)
5:再生・処理・処分 解体材の処分(4.0%)
の各段階に分けられ、各段階でのエネルギーを消費しています。
これらのエネルギーを、地球温暖化の影響を計るためにCO2排出量に換算し、足し合わせたものが「ライフサイクルCO2」です。
「ライフサイクルCO2」は、建物が「生涯で使用するエネルギー」と読み替えることも出来ます。
住宅のライフサイクルでは、「使用(居住)」段階が最も多く(87%)のCO2を排出しています。